通番 | 1289 | 報告書番号 | 1985-東京-T011 |
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情報区分 |
トラブル情報 |
報告書状態 | 最終報告 |
事象発生日時 | 1985年 08月 31日 06時 42分 | 事象発生日時(補足) | 火災警報動作 |
会社名 | 東京電力株式会社 | 発電所 | 福島第一発電所1号 |
件名 | 起動用母線電源盤の焼損について | ||
国への法令報告根拠 | 通産大臣通達 | 国際原子力 事象評価尺度(INES) |
事象発生時の状況 |
1号機は3月25日より定期検査中のところ,8月31日午前6時42分頃タービン建屋内北西コーナーにある電気品室付近から発生したことを示す警報が発生した。現場確認したところ6.9KV起動用母線電源盤1S3(2号機2A母線連絡)上部の火災を確認した。その後粉末消火器による消火作業を実施したが鎮火せず,8時6分消防署に連絡し,6.9KV母線しゃ断器1S3上部の屋外ケーブルダクトコーナー部の蓋を外して消火水を注水したところ8時56分鎮火した。 消火栓からの注水直後,過電流リレーが作動し起動用母線が自動停止した。 尚,消火活動に伴う人身災害,放射線被ばく及び外部に対する放射能の影響はなかった。 |
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事象発生箇所 |
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原因調査の概要 |
現場調査の結果『屋外部ダクト継目部に微小な間隙』,『当日,台風14号の通過に伴う強風雨』『1S3上部主回路導体及びケーブル端子接続部にアーク痕跡』『地絡リレー,過電流リレーの動作』の事実が確認され『汚損』による地絡,短絡の可能性があることが判明した。この可能性を実証するため『ダクト注水試験』『CT・ケーブルトラッキング試験』『煙中における裸導体間での短絡試験及び燃焼物落下挙動調査試験』を実施し,以下の事がわかった。 (1) 風の影響によりダクト内へ雨水が浸入する事。 (2) ブチルゴムケーブルは実機程度の汚損でコロナ発生からケーブル発火に至る事。 (3) CTは汚損の程度がかなり大きい場合又は,過電圧になった場合,閃絡する可能性がある事。 (4) 煙,炎の影響だけでは地絡短絡に至る事はないが,燃焼物の種類及び落下の状態によっては地絡,短絡に至る可能性がある事。 |
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事象の原因 |
ケーブルダクト建屋部のカバー継目部分のシール材が劣化していたため,その間隙から雨水が浸入しケーブル及びケーブルダクトを伝わりケーブルシース,主回路導体の絶縁体,主回路導体支持碍子及びCTの表面が湿潤状態になった結果,ケーブル端子接続部周辺で地絡・短絡が起き,ケーブル火災に至ったものと推定される。 |
原因分類 | 保守不備>保守不完全 |
事象の種別 | 火災事象 |
再発防止対策 |
(1) 当該ケーブルダクトを防水性,耐火性を強化した構造の新しいケーブルダクトに取り替えると共に当該ケーブルダクト内の既設ケーブルを撤去し,新たに難燃性ケーブルを布設する。また,類似のケーブルダクトのシールの健全性については,点検の結果,問題のないことを確認しているが,念のため次回定期検査時に新しい当該ケーブルダクトと同様の構造のものに取り替えると共にそのダクト内のケーブルも難燃性ケーブルに引き替える。 (2) 点検手入基準へケーブルダクトの点検周期を明記し,定期的に健全性を確認していくこととする。 |
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水平展開の検討 | 対象外 |
添付資料 | |
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プレスリリース |
発生時運転モード | 冷温停止 | 発生前の電気出力 | 0[MW] |
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発見の方法 | 作業・点検 | ||
発電所への影響 | なし |
外部への放射能の影響 | なし | ||
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保安規定違反 | なし | ||
検査指摘事項の 深刻度(SL)判定結果 |
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運転上の 制限外への移行 |
なし | ||
自動で作動した安全系 | なし | 手動で作動した安全系 | なし |
同発電所で発生した 同様事例 |
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その他 |