【登録日】
2009/09/28
【更新日】
2009/11/26

基本情報

通番 10572 報告書番号 2009-東京-M008
情報区分

保全品質情報

報告書状態 最終報告
事象発生日時 2009年 05月 25日 15時 30分 事象発生日時(補足)
会社名 東京電力株式会社 発電所 柏崎刈羽発電所7号
件名 主排気筒からのヨウ素の検出について
国への法令報告根拠 なし 国際原子力
事象評価尺度(INES)
評価不要

発生箇所および発生時の状況

事象発生時の状況  原子炉起動中の7号機において、平成21年5月25日午後3時50分頃、主排気筒放射線モニタのサンプリング測定を実施したところヨウ素133を検出(2.0×10^-8ベクレル/cm3、検出限界値1.4×10^-8ベクレル/cm3、(参考)指針 ヨウ素133測定下限濃度7×10^-8ベクレル/cm3*)した。
 ヨウ素133が検出された試料の測定期間は平成21年5月19日 10時40分〜平成21年5月
25日 14時50分の間であった。なお、サンプリング期間以前に採取した試料についてヨウ素は検出されていないことがわかった。

*:発電用軽水型原子炉施設における放出放射性物質の測定に関する指針
(昭和53年9月29日原子力委員会決定)

 確認されたヨウ素の影響を確認するため、線量評価を実施した結果は以下の通り。
(1)周辺監視区域外における濃度評価
 周辺監視区域外における濃度を評価したところ、4×10^-15ベクレル/cm3であり、この値は空気中の濃度限度3×10^-5ベクレル/cm3に比べ約70億分の1と極めて低い値であることがわかった。
(2)確認されたヨウ素から受ける放射線量評価
 確認されたヨウ素から受ける放射線量は、7×10^-10ミリシーベルトであり、自然界から1年間に受ける放射線量2.4ミリシーベルトの約30億分の1であることがわかった。
また、胸のエックス線検診(1回)で受ける放射線量(0.05ミリシーベルト)と比べても十分低い値であることがわかった。
(3)外部への影響評価
 発電所敷地境界に設置され空間線量率を測定するモニタリングポストやダスト放射線モニタの指示値は通常の変動の範囲内であり、また、主排気筒放射線モニタの指示値においても変動がなかったことから、周辺環境への影響はないことを確認した。

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事象発生箇所
【設備】  排気筒  【系統】  排気筒
【機器1】【部品1】

原因

原因調査の概要  ヨウ素が検出された原因について以下の調査を実施した。
(1)建屋換気空調系のサンプリング測定による調査
 主排気筒放射線モニタのサンプリング採取点上流に設置される原子炉建屋換気空調系及び、タービン建屋換気空調系についてサンプリング測定を行った。
 原子炉建屋換気空調系のサンプリング測定結果は検出限界値以下であった。
 タービン建屋換気空調系でのサンプリング測定結果はヨウ素133(2.6×
10^-8ベクレル/cm3、検出限界値2.1×10^-8ベクレル/cm3)が検出された。このことから、タービン建屋換気空調系のサンプリング採取点上流のタービン区域に原因のある可能性が確認された。

(2)現場調査
 タービン建屋換気空調系におけるサンプリング測定結果からタービン区域の管理区域各部屋にて現場調査を実施した。その結果、復水回収タンク室において原子炉給水ポンプシール水戻り配管に設置されるステッキベント開口部から若干のモヤが発生していることを確認した。
 また、当該原子炉給水ポンプシール水の戻り水の送水先である復水回収タンク室でヨウ素133が検出された。なお、当該箇所以外において異常は確認されず、後日ヨウ素濃度低減対策を実施後の主排気筒放射線モニタの結果から、放射性物質は検出されなかったことから、当該箇所が発生源であると特定した。

(3)復水回収タンク室の調査
 復水回収タンク室はタービン建屋換気空調系のサンプリング測定点の上流側に位置する。
 復水回収タンク室のγ線核種分析を実施したところ、ヨウ素133(約5.6×10^-6ベクレル/cm3)が検出された。また、復水回収タンク室で検出されたヨウ素133の濃度を主排気筒における濃度に概算で換算するとほぼ一致することを確認した。
復水回収タンク室に設置される機器ファンネル6個について水シールの状況を確認したところ、1個のファンネル(TL-B2009B)にシール切れがあった。残りの5個の機器ファンネルにはシール切れはなかった。
 シール切れが確認された機器ファンネル(TL-B2009B)に水張りし、水張り前後のヨウ素濃度測定を実施した結果、測定値(7.0×10^-6ベクレル/cm3)に変化はなかったことから、本事象の主たる要因ではないことを確認した。
 復水回収タンク室内のヨウ素濃度を測定したところ、原子炉給水ポンプシール水戻り配管のステッキベント開口部の近傍で比較的高い濃度が測定(1.8×10^-5ベクレル/cm3)された。
 また、復水回収タンク室内に設置される機器について、目視および漏えいの確認を実施し、異常は確認されなかった。
 なお、復水回収タンク室内に設置されている原子炉給水ポンプシール水戻り配管のステッキベント開口部を養生したところ、復水回収タンク室中央部及び入り口のヨウ素濃度の低下(検出限界以下(1.3×10^-6ベクレル/cm3以下))が確認された。

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事象の原因  原因は以下の通りと推定した。
(1)原子炉給水ポンプ内部の圧力が高い状態(プラント低出力時)において、ヒータドレンポンプのインサービスに伴い抽気蒸気に含まれるヨウ素133を含む原子炉給水ポンプの内部水の一部が給水ポンプシール水戻り配管に混入した。
(2)タービン駆動原子炉給水ポンプ(A)については、(B)に比べてシール水に混入するポンプ内部水が多かった。
(3)原子炉給水ポンプシール水戻り配管に設置されるステッキベント開口部の大気開放された箇所から復水回収タンク室に漏れ出すヨウ素133の拡散量が増加し、同タンク室の換気空調系を通じ主排気筒へ導かれ、主排気筒放射線モニタのサンプリング測定にてヨウ素133を検出したものと推定した。
原因分類 その他>その他
事象の種別 時間依存性のない事象(偶発事象を含む)
火災に該当しない事象

再発防止対策

再発防止対策  出力上昇中の原子炉給水ポンプのシール水の挙動については、原子炉給水ポンプシール水戻り流量は給水ポンプ内部の圧力に依存するため、プラント出力が中間出力の場合はポンプ内部の圧力が高くシール水戻りラインにポンプ内部水が混入する可能性が高いことがわかった。
 また、ポンプ主軸及び固定側のスロットルブッシュにラビリンス溝が設けられていることから、ポンプの回転数が上昇するにつれて、軸封部の流体の流れを大気
側(ポンプ外部)からポンプ内部へ押し戻す力が強まり、ポンプ内部水への混入を防止する効果が期待できることがわかった。
 以上より、以下の対策を実施する。

・運転中のタービン駆動原子炉給水ポンプのシール水ラインのヨウ素濃度を下げるため、シール水の圧力調整を実施(圧力:0.155MPa→0.280MPa、シール戻り温度(反CP側):59度→42.5度)し、シール水流量を増加させ、ポンプ内部水がシール水戻り配管へ混入する量を低減した。(シール戻り水のヨウ素濃度:7×10^-4ベクレル/cm3→検出限界値以下(2×10^-4ベクレル/cm3以下))
・当面の間、知見拡充の観点から、復水回収タンク室内のヨウ素濃度測定を実施し、その間、復水回収タンク室に局部排風機の設置を継続する。

 上記対策の結果、復水回収タンク室内のヨウ素濃度は7.6×10^-6ベクレル/cm3(主排気筒で検出された放射能から換算)から3.2×10^-6ベクレル/cm3(5月29日10時の測定値※)に低下し、ヨウ素133濃度を主排気筒で測定される濃度に換算すると検出限界未満となる。
なお、5月28日の主排気筒における測定結果(試料の測定期間:平成21年5月25日14時50分〜平成21年5月28日9時10分)では、ヨウ素濃度が検出限界未満であることを確認した。

※この濃度は、法令に定める放射線業務従事者の呼吸する空気中濃度限度(5×10^-3ベクレル/cm3)の1,000分の1以下であり、管理区域の設定基準および当社が定めるマスク着用基準(5×10^-4ベクレル/cm3)の100分の1以下である。また、この濃度の空気を作業中に1年間呼吸し続けたと仮定した場合に受ける線量を試算すると約0.03ミリシーベルトであり、これは法令に定める年間の線量限度50ミリシーベルトと比較しても十分に小さい値である。

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水平展開の検討 水平展開状況

参考資料

添付資料
プレスリリース

プラント状況

発生時運転モード 起動 発生前の電気出力 710[MW]
発見の方法 試験・検査
発電所への影響 なし

分析用情報

外部への放射能の影響 なし
保安規定違反 なし
検査指摘事項の
深刻度(SL)判定結果
運転上の
制限外への移行
なし
自動で作動した安全系 なし 手動で作動した安全系 なし

関連情報

同発電所で発生した
同様事例
その他